研磨石
バレル研磨用の研磨石は研磨機の調整機能が少ない為に研磨目的や対象となるワークの材質、硬度、形状によって使い分けが必要となります。また、研磨石はワークと接し研磨目的を果たすという意味でも最も重要な役割を果たしています。従って、各メーカーはそれぞれノウハウを注ぎ込んで研磨石の開発、商品化に注力しています。
研磨石のタイプと特徴
ビトリファイト研磨石
数種類の粘土に刃の役目をする砥材(アルミナ)を練り込み、成型焼成したもの。
タップ密度=1.5~1.8
研磨面の粗さの目安 (SUS304)
Ra2μm~Ra0.5μm
プラスチック研磨石
合成樹脂(ポリエステル樹脂など)に砥材(二酸化珪素、ジルコニア)を混合し、注型、硬化したもの。
タップ密度=1.1~1.4
研磨面の粗さの目安 (SUS304)
Ra1μm~Ra0.12μm
アルミナ系研磨石
高純度アルミナの微粉に結合剤としてシリカを配合し、成型、焼成したもの。又は、天然アルミナ鉱石を粉砕し溶融、序冷したもの
タップ密度=1.8~2.2
研磨面の粗さの目安 (SUS304)
Ra0.5μm~Ra0.02μm
有機質研磨石
クルミの外殻、コーンコブを粉砕し、表面に油脂、酸化金属(アルミナ・酸化クロム)の微粉をコーティングしたもの。
タップ密度=0.6~0.8
研磨面の粗さの目安 (SUS304)
Ra0.5μm~Ra0.015μm
金属系研磨石
クロム鋼、SUS、銅
タップ密度=5~8
研磨面の粗さの目安 (SUS304)
ピーニング効果によって表面硬化層を形成し、独特の面を作り光沢を出す。
乾式研磨石
熱可塑性樹脂(主にナイロン)にアルミナ砥材を練り込んで射出成型後切断した研磨石。
タップ密度=1.2~1.6
研磨面の粗さの目安 (SUS304)
Ra0.08μm~Ra0.13μm
コンパウンドについて
「コンパウンド」とは本来は「混ぜ物」という意味で下の表の作用を司る成分が配合されています。バレル研磨では粗研磨、平滑仕上げ、光沢仕上げというように要求にレベルがあります。また、対象となるワークの材質も様々です。バレル研磨用コンパウンドは研磨目的やワークの材質によって作用を司る成分の割合や薬剤の種類を調整しており、ここに各メーカーのノウハウが盛り込まれています。
コンパウンドの作用と効果
水質調整
水を軟化させ、コンパウンドの持つ作用を充分に発揮させる。
潤滑
光沢、平滑仕上げに貢献し、適度な潤滑性が切削性を向上させる。
洗浄
ワーク、研磨石の表面を清浄に保つ。
発泡
密度の高い泡が緩衝効果を発揮し、ワークへのダメージを軽減、光沢を促進する。甲高い研磨石の衝突音を吸収し、 防音効果も発揮する。
防錆
粗仕上げ、中仕上げの研磨面は非常に活性化され、錆び易くなっており、研磨中、研磨直後の錆を防止する。
脱脂
通常、研磨前に脱脂を行うが、微量の油分については、アルカリ成分によって分解させることができる。
研磨量増大
粗仕上げ、中仕上げ用にあらかじめ砥材を配合し、研磨力を向上させる。反面、研磨石の磨耗 も増加するため、より強い洗浄作用が必要になる。